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晩期型星 WX Psc の双極ジェット (第30号:2007年5月25日発行)

太陽のような恒星が年を取ると、AGB星を経て惑星状星雲に進化すると考えられています。惑星状星雲では細く絞られた双極ジェットが見られることがありますが、このような双極ジェットがどのように生成されるのかは良くわかっていません。
WX Psc(うお座WX星)は激しい質量放出を起こしていると考えられているAGB星で、このような双極ジェットがまさに生まれようとしているのでは、と予想されていました。実際、この天体に付随する水メーザー源では、双極流か等速球状膨張流の存在を示唆するダブルピークの水メーザースペクトルが見られていました。

ところが、VERAでメーザースポット群の空間分布を詳しく調べると、その分布は可視赤外線観測から予想されていた双極流の向きとはかなり異なる方向に視線速度勾配を持つことが明らかになりました。これは、もともと星の周りにあった球対称的膨張流を、ジェットが内側からドリルのように突き破って現れた瞬間を捉えている可能性があります。

 ※この結果は日本天文学会欧文研究報告の2007年8月号に掲載されます。(Inomata et al.2007, PASJ, 59, in press)

>> PDF(326KB)

  VERAのモニター観測で得られた WX Pscの水メーザースポットの分布(上)とスペクトル(下)。色は視線速度に対応。

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