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成果報告その他の報告

研究ハイライト

成果報告

VERAによる天体精密距離測定の成功について
 ‐もっとも遠い天体の距離測定ならびに世界最高精度の観測を達成‐

Orion KL ‐ 銀河系でもっとも重要な天体について世界最高の距離精度を達成

Orion KL(Kleinmann-Low天体)はオリオン大星雲の中心にある赤外線星雲で、太陽の30倍の質量を持つ巨大な若い星など多くの星が誕生しつつある活発な領域です。そのため、星の誕生について研究を行う上で、Orion KLは最も重要な観測対象として知られています。Orion KLの距離としては、1981年にGenzelらによって1565±260光年という値が提唱されています。

VERAでは、2004年1月から2006年7月までの間、Orion KL領域にある水メーザーと呼ばれる強い電波源位置を正確に測り続けることによって、三角測量(年周視差計測)の原理でOrion KLの距離を1425±62光年と決定しました。この結果はGenzelらの結果とは矛盾しない値ですが、計測精度は4倍向上し、これまで以上に高い精度で距離決定が可能になったことで画期的な成果です。

今回の成果により、過去の天体の距離決定を見直し、星の誕生の研究をより高精度化することが可能になったという点でも大きな意義があります。この結果は、日本天文学会欧文報告への掲載が決定しています(Hirota et al. 2007, PASJ, vol.59, No.5, Oct. 25 issue, in press)。

図:(左)すばる望遠鏡で観測されたOrion KL領域の赤外線イメージ。(右)VERAで観測されたOrion KL領域のメーザー源の位置変化
図の範囲は縦7/1,000,000度×横5/1,000,000度という極めて小さい範囲内での動きを示している。日付は2004年1月1日からの通日。直線運動に加えて1年周期の運動があるために、らせん状にメーザー源が動いている様子が検出されている (Hirota et al. 2007, PASJ, in pressより)。



 VERAによる天体精密距離測定の成功について
 成果1: S269 ‐ 年周視差の世界新記録の達成
 成果2: Orion-KL ‐ 銀河系でもっとも重要な天体について世界最高の距離精度を達成
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 三角測量と年周視差
 年周視差計測の歴史
 共同研究者一覧

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