VERAトップページへ  
ここから本文

成果報告その他の報告

研究ハイライト

成果報告

大質量星形成領域 IRAS 20143+3634 の観測から太陽円の銀河回転角速度を精密に測定

画像

鹿児島大学の Ross A. BURNS 氏を中心とした研究チームは、VERAを用いて大質量星形成領域 IRAS 20143+3634 の水メーザー観測を行い、年周視差や固有運動を計測しました。
さらに、太陽系の銀河回転角速度を、より精密に測定することに成功しました。

IRAS 20143+3634 は、銀河系にある大質量星形成領域で、太陽系と同じ円周上(太陽円)にある天体です。
私たちの太陽系は天の川銀河の中心の周りを回転していますが、IRAS 20143+3634 もほぼ同じ円周上を回っているのです。

研究チームは2008年12月〜2010年12月にかけて、VERAを用いた複数回の観測を行いました。
その結果、年周視差は 0.367 ± 0.037 mas、地球からの距離は約 2.72 kpc(=8870光年)、固有運動は東西方向が -2.99 ± 0.16 mas、南北方向が -4.37 ± 0.43 mas と算出されました。

また、この測定結果をもとに銀河系を回転する運動(角速度)を求めたところ、秒速 27.3 ± 1.6 km/s/kpc と算出されました。
この値は、国際天文学連合(IAU)でこれまで考えられていた値 25.9 km/s/kpc よりも、約10%大きい(速い)ことが示唆され、最近のVERAなどの観測結果を裏付けるものとなりました。

fig.1
図1:観測した9点の水メーザースポットの位置変化。

fig.2
図2:銀河面上の位置。
Sunは太陽系、I20143 は IRAS 20143+3634 を表す。
中央下部の GC は銀河系の中心部を示す。



関連論文



ここからフッター