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VERA10周年記念イベント
2012年の秋、VERAプロジェクトが2002年に本格的な観測を始めてから10周年になることを記念して、水沢VLBI観測所を中心に様々なイベントが開催されました。
※以下の記事は、普段は三鷹キャンパスにてこのホームページ作業を担当している者が、一連の記念イベントに参加したレポートとしてお送りします。
記念式典
2012年10月5日、VERA本部のある奥州市の文化会館Zホールで、記念式典が行われました。
国立天文台の林台長の式辞に始まり、水沢観測所の川口所長が「VERA10年のあゆみとこれから」について報告。先人の研究者・技術者の方々への敬意と感謝の想いや、VERAの初ワークショップに参加した記憶が今も鮮明に残っているというお話もされていました。
国際天文学連合の会長に就任された海部前台長の祝辞にも、プロジェクト発足時のエピソードを聞くことができました。
当初のシステムの感度・精度を上げるコンセプトがどんどん進化したこと、いろんなアイデアが出て実行していったこと。当事者の熱意や迫力が凄かったということです。
奥州市長にいただいた祝辞は、観測施設と地域との交流や町づくりのことなど。面高鹿児島大学特任教授からは、多くの大学がVERAと連携し、留学生も含めて100名以上の学生が論文を書いたこと。韓国天文研究院のパク本部長は、韓国と日本のネットワークについて。それぞれ地域交流・教育・国際化におけるVERAの貢献などを語ってくださいました。
文科省の大竹審議官には「科学者に国境はあるが、科学には国境はない」という言葉を引用いただき、また、銀河系が20%重くなったというVERAの最新成果から「世のダイエッターに希望を与える」と会場を笑わせてくださいました。
祝辞の後、VERAへの協力・支援に対して感謝状の贈呈がありました。
なかなか脚光を浴びることがなくても縁の下でVERAを支えている方々がたくさんいらっしゃることがわかります。これだけ多くの協力があって、ひいてはその方々の想いがあって、今日の成果につながっていることを改めて感じさせられました。
そしてVERA10年の研究成果について、本間准教授から報告がありました。
10年間の前半は建設評価だったけれど、本格的な観測が始まって次々に成果がでています。
最初の成果は「人類が三角測量で計測した最も小さい角度」(2千万分の1)で当時の記録を更新したこと。
他、多くの現象の発見や、天体の精密な距離測定といった観測成果を上げることができ、これまでの査読論文は80編以上。
更には銀河系の質量(ダークマターの存在量)が従来より20%多いことを導いた最新の発表も説明していただきました。
今後は更に大学との連携、地元との連携(社会教育、情報発信、高校生の体験学習)、東アジアの連携を深めていきたいとのお話でした。
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