光結合VLBIの観測システ厶とネットワーク

観測システ厶

光通信によって超広帯域VLBIを実現し、高感度観測を可能にする光結合VLBI観測システムについて説明いたします。

VLBI観測装置

以下の図は、VLBIの観測装置を示したものです。
「観測所」では、天体からの電波を受信し電気的に処理して「相関局」に送ります。「相関局」では各「観測所」から送られてきたデータを「相関器」という専用のデータ処理機にかけて、観測結果を得るわけです。
従来は観測データを「磁気テープ」に記録していたので、記録容量が少ないうえ、相関した結果が得られるまでに時間がかかっていました。
しかし光結合VLBIでは、「観測所」と「相関局」間を光回線で結ぶため、実時間(リアルタイム)で観測データを処理できます。また、格段に大量のデータを扱うことができるようになりました。
また広帯域データ伝送帯域にあわせて、観測局の観測システムも大幅に広帯域なシステムへと改修しています。

光結合型VLBI観測システムは、以下の各装置によって構成されます。


OCTAVEのネットワーク

以下の図は、各電波望遠鏡や相関器を結ぶOCTAVEの光通信ネットワークを示しています。光結合を構成しているネットワークは、国立情報学研究所が提供しているSINET4、NICTが提供しているJGN-X、NTT研究所が提供しているGEM的長距離を伝送する基幹回線と、短距離を伝送するローカルアクセス回線から成り立っています。

基幹回線のSINET4とGEMNETは国立天文台の三鷹で、JGN-XとGEMNETはNICT小金井で相互に接続されています。 SINET4とJGN-Xの通信プロトコルは10GbEですが、GEMNETはATMであるため、それぞれを一度VSIに変換しプロトコルの変更を行っています。

ローカルアクセス回線は苫小牧局高萩・日立局を除きそれぞれ望遠鏡と基幹回線までをダークファイバーを用いて接続しており通信プロトコルは基幹回線と同じものが使用されています。
苫小牧局からSINET4が接続されている北海道大学までは、1GbEを3回線使用しており、局に置かれた2Gbpsの10GbEの信号を3つの1GbE回線に分割して送るリンクアグリゲーションが用いられています。
高萩日立局はJGN-Xの接続ノードである鹿島局まで、ダークファーバー1芯をWDMによって多重化し、2Gbpsを2回線伝送しています。
臼田64m野辺山45mアンテナは現在高速通信回線で接続されていません。そのため、これらの局が参加するVLBI観測では全局OCTADISKと呼ばれる記録媒体を用いて記録し、国立天文台三鷹の相関器で相関処理することが可能です。

<OCTAVEに参加する電波望遠鏡群>




光結合VLBI観測において観測周波数帯が同じでなければなりません。現在光結合された局の観測周波数帯を以下に示します。

OCTAVEネットワークと観測周波数帯
観測局 8.4GHz帯 22GHz帯 43GHz帯
鹿島34m
つくば32m  
山口32m  
岐阜11m    
苫小牧11m    
高萩/日立32m  
(臼田64m)    
(野辺山45m)  

天体観測データの相互伝送(分散型リアルタイム相関器)

各アンテナの観測データを「相関局」に伝送し相関処理されます。 これまでのVLBIは全観測局の観測テープをすべて1局の相関器に送って相関処理を行っていました(集中相関処理)。
これにたいして光結合VLBIでは相関器を各電波望遠鏡にそれぞれ設置して、それぞれが双方向回線でデータを送り合い、相関処理することによって、大量のデータを処理できます(分散相関処理)。
下に分散相関処理について図で説明します。

分散型相関処理

例えば、上図を参照してください。
右側のアンテナで、8Gbps(ギガビット毎秒)のデータ取得をします。そのうちの半分、4Gbpsのデータを左側のアンテナまで伝送し、相関処理します。
このとき、左側のアンテナでも8Gbpsで観測を行い、やはり半分を右側のアンテナへ伝送し、処理します。
これで、通信回線は4Gbpsなのに、観測は8Gbpsで行うことができるようになります。この速度はVLBIの観測としては世界最速です。

過去のプロジェクト

VONUSのネットワーク

OLIVE/GALAXYのネットワーク